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HealthDay News
  • 小児期の体格は1型糖尿病のリスクに直接的に影響するという研究報告が、「Nature Communications」に4月28日発表された。英ブリストル大学のTom G. Richardson氏らによる今回の研究は、メンデルランダム化(MR)解析を用いたもので、この関係性には因果関係があると推定されるという。 本研究では、1型糖尿病のリスクに小児期の体格が影響を及ぼすか否かを調べるためにMR解析を行った。まず、英国の大規模データベースであるUKバイオバンクの参加者45万3,169人のデータを用いて、体格に関連する遺伝子変異を特定するゲノムワイド関連分析(GWAS)を実施した。UKバイオバンクでは、参加者に対し10歳時の体格が「やせ」「平均」「太め」の3カテゴリのうちいずれであったかを尋ねており、その回答を小児期の体格として関連する遺伝子変異を特定した。また、参加者が平均56.5歳の時に測定したBMIについても同様に3カテゴリに分け、成人期の体格として関連する遺伝子変異を特定した。さらに出生体重のデータがある参加者26万1,932人では、出生時の体格に関連する遺伝子変異も特定した。 次に、体格に関連するこれらの遺伝子変異と疾患リスクの関連性を調べるため、既存のメタ解析研究で報告された1型糖尿病患者5,913人、対照者8,828人のデータセットを対象にMR解析を行った。さらに、複数の既存研究からより大規模なデータセットを作成し、1型糖尿病患者1万5,573人、対照者15万8,408人においても同様の解析を行い、結果を検証した。 MR解析の結果、小児期の体格は1型糖尿病のリスクに影響しており、体格カテゴリが1段階変化する時のオッズ比(OR)は2.05であった〔95%信頼区間(CI)1.20~3.50、P=0.008〕。より大規模なデータセットにおけるメタ解析でも同様の結果が示された(OR 1.84、95%CI 1.19~2.83、P=0.006)。多変量MR解析の結果、小児期の体格は1型糖尿病のリスクに直接的に影響していた(同2.27、1.24~4.17、P=0.008)が、成人期の体格による影響は有意ではなかった(同0.92、0.54~1.57、P=0.760)。より大規模なデータセットにおけるメタ解析でも、小児期の体格のみが1型糖尿病のリスクに影響していた(同1.94、1.21~3.12、P=0.006)。成人期の体格に加え、遺伝的に推定した出生体重を調整した多変量MR解析でも、小児期の体格は1型糖尿病のリスクに直接的に影響していた(同2.32、1.21~4.42、P=0.013)。 さらに他の免疫関連疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、甲状腺機能低下症、関節リウマチ、炎症性腸疾患)についても、小児期および成人期の体格による影響を評価するため、単変量および多変量のMR解析を行った。その結果、単変量MR解析において小児期の体格は喘息(同1.31、1.08~1.60、P=0.007)、アトピー性皮膚炎(同1.25、1.03~1.51、P=0.024)、甲状腺機能低下症(同1.42、1.12~1.80、P=0.004)のリスクに影響していた。ただし、いずれの疾患でも成人期の体格による影響も認められ、多変量MR解析において成人期の体格を考慮した場合、小児期の体格による影響は有意ではなくなった。 著者らは「今回の結果から、小児期の肥満は1型糖尿病の患者数の増加に影響しており、小児期の肥満の有病率を低下させるための予防策が重要であることが明らかになった。こうした対策は医療における負担を軽減し、1型糖尿病と生涯付き合うことになる患者のQOL改善につながる可能性がある」と述べている。 なお、著者2名が製薬企業との利益相反(COI)を開示している。(HealthDay News 2022年5月2日) https://consumer.healthday.com/childhood-body-size-has-causal-impact-on-t1d-risk-2657247468.html Abstract/Full Text Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 高齢者世帯の火災予防のために、調理用コンロをIH調理器に交換するよう勧められることがあるが、その交換のタイミングが総じて遅すぎるのではないかとする論文が発表された。認知機能が低下している高齢者では、マニュアルを見ながらでもIH調理器をほとんど操作できず、認知機能が正常の高齢者でも困難だという。東北大学未来科学技術共同研究センター/高齢者高次脳医学研究プロジェクトの目黒謙一氏らの研究によるもので、詳細は「Dementia & Neuropsychologia」に4月11日掲載された。 2018年の消防庁の統計によると、全火災事故の約13.9%がコンロの取り扱いに関連している。また、高齢者では鍋を焦がしてしまうという体験と、記憶力や判断力、実行機能の低下が有意に関連していることが報告されている。このような高齢者のコンロの取り扱いミスによる火災リスクを抑制する対策として、自治体によってはIH調理器への交換を推奨している。しかし、認知機能の低下した高齢者でもIH調理器を使用可能かどうか明らかでない。目黒氏らは、宮城県涌谷町の高齢者を対象として、この点を検討した。 研究参加者は、75歳以上の地域在住高齢者166人。臨床的認知症尺度(CDR)により、66人はスコア0で「健康」、79人はスコア0.5で「認知症の疑い」、21人はスコア1以上で「認知症」と判定された。また、本人と家族へのインタビューから、過去の火災につながるような体験(鍋を焦がす、タバコやストーブの消し忘れ、畳を焦がすなど)の有無を把握し、その頻度と重大性から、火災を引き起こすリスクを判定。その結果、98人は該当する経験がなく「安全」、39人は「低リスク」、29人は「高リスク」と分類された。 研究参加者に、「IH調理器を使って、インスタント麺を作るのに必要な水をできるだけ速く沸騰させるように」との課題を与え、実行可能かを判定した。なお、調理器のマニュアルは自由に読んでよいこととし、読みやすいように拡大したものを手渡した。また、手順が分からず先に進めない場合は、研究スタッフが作成した説明書を参照してもらったり、スタッフが助言をした。 やかんを置き、主電源、加熱ボタンの順にオンにし、パワーを最大にして、沸騰したら電源をオフにするという手順を全て完了できたのは、健康な群では約15%、認知症疑い群では約8%であり、認知症群では0%だった。この3群で課題を完了できた人の割合に有意差はなかったが、全体的に課題を完了できない人の多さが際立つ結果となった。なお、健康な群であっても、過去の体験から火災「高リスク」と分類された群には、課題を完了できた人が1人もいなかった。 次に、認知症群を除外して健康な群と認知症疑い群を、完了できた/できなかった人に二分して、認知機能(MMSE)を比較。すると、課題を完了できた人の認知機能スコアの方が有意に高かった(26.1±2.9対24.5±3.1、P<0.05)。また、実行機能(数字記号置換テスト)の結果も、課題を完了できた人の方が有意に高かった(35.1±11.4対29.7±8.8、P<0.05)。ただし実行機能の別の指標(TMT-A)は有意差がなかった。 著者らは本研究の限界点として、課題を実行できるか否かを1機会のみで確認し、学習効果を評価していないことなどを挙げている。その上で、「火災予防のためにIH調理器を導入するタイミングは、火災につながる何らかのインシデントがあってからでは遅すぎる。また、IH調理器に交換する前に、高齢者の認知機能や実行機能を評価すべきではないか」と述べている。(HealthDay News 2022年8月8日) Abstract/Full Text Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 高齢者の多くが、加齢に伴い生じるさまざまな心身の不調に対処するために代替医療を使用しているが、そのことを必ずしも医師に話す必要はないと考えていることが、米ミシガン大学が実施した「健康的な老いに関する全米調査(National Poll on Healthy Aging)」から明らかになった。 この調査は、米国民を代表するパネルからランダムに抽出した50〜80歳の米国成人2,277人を対象に、2022年1月から2月にかけてオンラインまたは電話により行われた。完了率は68%だった。 この調査によると、調査参加者の66%が、体の痛みや精神的ストレスを緩和するために、統合医療の一環として代替医療を少なくとも1つ以上使っていた(38%が現在の使用者、28%が過去の使用者)。また、21%が「代替医療に興味を持っている」と回答し、「代替医療を使ったことがなく、興味もない」と答えた参加者は13%にとどまっていた。最も頻繁に使用されている代替医療は、マッサージ療法とカイロプラクティック(共に41%)であり、その他では、瞑想とマインドフルネス(27%)、ヨガ(24%)、鍼(16%)の使用頻度が高かった。現在、代替医療を使用している人は、男性よりも女性で多く(31%対44%)、また、年齢層別では、65〜80歳よりも50〜64歳で多かった(35%対41%)。しかし、医療従事者に代替医療を使っていることを話した人はわずか18%であった。 ほとんど(96%)の人が精神は健康に影響を及ぼすと考えていた(82%が「大きな影響がある」、14%が「小さな影響がある」と回答)。代替医療を試した目的としては、痛み、不眠症、胃腸の不調などの治療や予防、ストレスの緩和や管理、けがの治療、抑うつや不安への対処などの回答がみられた。代替医療の有益性については、約38%が「非常に有益である」、53%が「ある程度有益である」と回答した。 代替医療を受ける人は、その費用を自費で支払う傾向があることも分かった。「加入中の健康保険が適用される」と回答した人は15%にとどまり、19%は「適用されない」、残りの66%は「分からない」と回答した。また、84%の人が、「保険が適用されるなら代替医療を試したい」と回答し、代替医療の使用をやめた人では、27%が費用の問題をやめた理由に挙げていた。 今回の調査に協力したミシガン大学病院の一般内科医Rachael Maciasz氏は、「この結果は、健康診断を行うプライマリケア医が、診察時に代替医療についても尋ねるべきであることを示唆するものだ」と述べる。そして、「健康における心と体の結び付きの重要性は、研究で次々と明らかにされているし、統合医療戦略がさまざまな疾患にもたらす効果についても詳細な研究が実施されている。患者と医療従事者のオープンなコミュニケーションは重要だ」と付け加えている。(HealthDay News 2022年7月27日) https://consumer.healthday.com/alternative-medicine-2657724132.html Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 超加工食品の食べ過ぎが認知症のリスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。天津医科大学(中国)のHuiping Li氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に7月27日掲載された。 超加工食品は一般的に、糖分や脂肪分、塩分を多く含み、タンパク質や食物繊維が少ない。具体的には、フライドチキン、ソーセージ、ケチャップ、マヨネーズ、フレーバーヨーグルト、フレーバーシリアル、菓子パン、炭酸飲料、菓子、アイスクリームなどの中に、該当するものが多い。Li氏らは、英国の大規模ヘルスケア情報ベース「UKバイオバンク」のデータを用いて、これら超加工食品の摂取量と認知症発症リスクとの関連を検討した。 解析対象は、ベースライン時に認知症がなく、24時間の食事摂取状況を把握する調査に2回以上参加した55歳以上の成人7万2,083人。超加工食品の摂取量で全体を4群に分けると、第1四分位群(超加工食品摂取量が少ない下位4分の1)は、1日225g(摂取量の9%)の超加工食品を摂取していた。それに対して第4四分位群(超加工食品摂取量が多い上位4分の1)は、1日814g(同28%)を摂取していた。 71万7,333人年(追跡期間中央値10.0年)の追跡で、518人が認知症(287人がアルツハイマー病、119人が血管性認知症)を発症した。認知症発症に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、家族歴など)を調整後、超加工食品の摂取量が10%多いごとに認知症発症リスクが25%高くなるという関連が認められた〔ハザード比(HR)1.25(95%信頼区間1.14~1.37)〕。病型別では、アルツハイマー病がHR1.14(同1.00~1.30)、血管性認知症がHR1.28(1.06~1.55)であり、いずれも有意な関連があった。 これらの結果を基に、人々が摂取している超加工食品の10%を未加工や低加工の食品に置き換えたと仮定すると、認知症のリスクは19%低くなると推計された〔HR0.81(同0.74~0.89)〕。ただし、この研究は超加工食品の摂取量と認知症リスクとの間に関連があることを示しているが、因果関係を証明するものではない。 この論文について、米マウントサイナイ認知健康センターのSam Gandy氏は、「近年、心臓に良い食事とライフスタイルが、認知症のリスクを抑制するための最善の方法であることを示すエビデンスが増えている。新たに報告された研究結果もそれらのエビデンスと一致している。ただ、心臓の健康に良い食品のメリットではなく、超加工食品のリスクに焦点を当てていることは、この研究の目新しさと言える」と評価している。 一方、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのSamantha Heller氏は、「超加工食品の摂取と、肥満、2型糖尿病などの慢性疾患や心臓病、ある種のがんの発症リスクとの関連は以前から知られていた。詳しいメカニズムは不明ながら、超加工食品の摂取が認知症のリスク上昇と関連していたとしても驚くべきことではない」と話す。その上で、「超加工食品は、それらへの食欲を高めることも狙って作られており、多くの家庭で、果物、野菜、豆類、全粒穀物などの健康的な食品に取って代わりつつある。塩分、糖分、飽和脂肪酸が多く、食物繊維が少ない超加工食品は、肉体的かつ精神的な健康にも良くないレシピだ」と解説する。 Heller氏は、超加工食品から健康的な食品への切り替えについて、「調理方法を学ぶことは、最初は気が遠くなるほど大変だと感じるかもしれない。しかし、無料のレシピやリソースがオンライン上にあふれている」と、身近な情報の活用を促している。また、「われわれの患者を対象に行った研究では、超加工食品を減らして生鮮食品を多く食べるようになると、超加工食品を『おいしい』と思えなくなり、魅力が低下することが明らかになった」とのことだ。 他方、米ボストン大学のMaura Walker氏とNicole Spartano氏は、本論文に対する付随論評を寄せ、今回の研究での超加工食品の定義に一考の余地があることを指摘している。両氏は、「調理方法が食品の栄養価に影響を与える可能性があり、研究参加者の自己申告のみに依存しない、より精密な食事調査に基づく研究が必要ではないか。食習慣を正確に把握することは困難だが、今後は調理方法のほかに、例えば、摂取タイミング、食べ合わせなどの影響の理解も欠かせない」と述べている。(HealthDay News 2022年7月28日) https://consumer.healthday.com/7-28-diets-heavy-in-ultra-processed-foods-could-harm-the-brain-2657734374.html Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 脳梗塞を新規発症した患者の多くが、発症以前には診断されていなかった血管イベントリスク因子を有しているとする研究結果が報告された。ヴォー州立大学病院(スイス)のAndré Rêgo氏らが、欧州神経学会(EAN2022、6月25~28日、オーストリア・ウィーン)で発表した。未診断のリスク因子として認められた頻度の高いものとして、脂質異常症、高血圧、心房細動などが該当するという。 急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke;AIS)患者における未診断の主要血管リスクファクター(undiagnosed major vascular risk factors;UMRF)の実態はよく分かっていない。Rêgo氏らは、同院で行っているAIS関連レジストリである「ASTRAL(The Acute STroke Registry and Analysis of Lausanne)」のデータの遡及的解析を行い、この点を検討した。 2003~2018年にASTRALレジストリに登録された患者から、データ欠落者などを除外した4,354人〔年齢中央値70歳(四分位範囲15.2)、女性44.7%〕を対象に解析。その結果、1,125人(25.8%)はAIS発症時点で血管イベントリスク因子の診断が記録されていなかった。この1,125人のうち341人(30.3%)は、AIS発症時点に施行した検査でもリスク因子が認められなかったが、3分の2以上に当たる784人(67.7%)は少なくとも1つのUMRFが発見された。 新たに検出された血管イベントリスク因子は、脂質異常症(61.4%)、高血圧(23.7%)、心房細動(10.2%)、糖尿病(5.2%)、左室駆出率35%未満(2.0%)、冠状動脈疾患(1.0%)などだった。多変量解析によりUMRFを有することは、低年齢、非白人、卵円孔開存症、55歳未満での避妊薬の使用、55歳以上での喫煙と正の関連が認められた。一方、抗血小板薬の使用、およびBMI高値は、UMRFを有することと負の関連が認められた。 UMRFを有する場合のAIS発症メカニズムとしては、卵円孔開存症によるものが多く、その一方でラクナ梗塞や心原性梗塞、大血管病変による梗塞、および複数の原因の共存による発症は少なかった。AIS発症後12カ月間の再発率や機能的転帰は、UMRFの有無で有意差がなかった。 Rêgo氏は、「われわれの研究発表以前は、AIS患者に占めるUMRFを有する者の割合、患者プロファイル、発症メカニズムに関する臨床情報はほとんどなかった。本研究が今後、より強力な予防介入やモニタリングを必要とする、潜在的な脳卒中リスクのある患者の特定に役立つことを期待する」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2022年6月30日) https://consumer.healthday.com/ean-undiagnosed-major-vascular-risk-factors-common-in-ais-patients-2657567017.html Abstract No. EPO-261 Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 血清クレアチニンとシスタチンCの比が、2型糖尿病患者の無症候性アテローム性動脈硬化の存在と有意な関連があるとする論文が報告された。松下記念病院糖尿病・内分泌内科の橋本善隆氏、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科の福井道明氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open Diabetes Research & Care」に6月23日掲載された。 糖尿病が動脈硬化の強力なリスク因子であることは古くから知られており、心血管イベントの発症前に動脈硬化進展レベルを評価した上での適切な治療介入が求められる。一方、近年は高齢化を背景に、糖尿病患者のサルコペニアも増加している。サルコペニアの診断には歩行速度や骨格筋量の測定が必要だが、より簡便な代替指標として、血液検査値のみで評価可能な「サルコペニア指数(sarcopenia index;SI)」が提案されている。SIは、血清クレアチニンをシスタチンCで除して100を掛けた値であり、低値であるほどサルコペニアリスクが高いと判定される。またSIは、心血管イベントリスクと相関するとの報告がある。ただし、SIと動脈硬化進展レベルとの関連は明らかでない。 これを背景として橋本氏らは、京都府立医科大学などが外来糖尿病患者を対象に行っている前向きコホート研究「KAMOGAWA-DMコホート」のデータを用いて、SIによる糖尿病患者の無症候性アテローム性動脈硬化を検出可能か検討した。2016年11月~2017年12月に登録された患者から、データ欠落者、および動脈硬化性疾患〔虚血性心疾患、脳卒中、末梢動脈疾患(ABI0.9未満)〕や心不全、腎機能障害(血清クレアチニン2.0mg/dL超)の既往者などを除外した174人を解析対象とした。動脈硬化進展レベルは上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)で評価した。 解析対象者は平均年齢66.9±10.1歳、男性56.3%、BMI23.5±3.5kg/m2、糖尿病罹病期間17.7±11.6年、HbA1c7.3±0.9%であり、血清クレアチニンは0.76±0.23mg/dL、シスタチンCは0.99±0.26mg/dLで、SIは77.6±15.8、baPWVは1,802±372cm/秒だった。baPWVが1,800cm/秒を超える場合を無症候性アテローム性動脈硬化と定義すると、43.7%が該当した。 相関を検討した結果、SIは男性(r=-0.25、P=0.001)、女性(r=-0.37、P=0.015)ともに、baPWVと有意な負の相関が認められた。性別を区別せずに全患者を対象としてROC解析を行ったところ、無症候性アテローム性動脈硬化の検出能は、AUC0.66(0.57〜0.74)であり、SIの最適なカットオフ値は77.4(感度0.72、特異度0.58)と計算された。 続いてロジスティック回帰分析にて、共変量(年齢、性別、BMI、喫煙・運動習慣、収縮期血圧、HbA1c、降圧薬・血糖降下薬・スタチンの使用)を調整後に、無症候性アテローム性動脈硬化の存在に独立して関連する因子を検討。その結果、年齢〔オッズ比(OR)1.19(95%信頼区間1.11~1.28)〕、収縮期血圧〔OR1.06(同1.03~1.09)〕が有意な正の関連因子として抽出され、反対にスタチン使用〔OR0.33(同0.13~0.86)〕とSI〔1上昇するごとにOR0.95(同0.91~0.99)〕が有意な負の関連因子として抽出された。性別や喫煙・運動習慣、HbA1cなどは有意でなかった。 以上より著者らは、「SIは2型糖尿病患者の無症候性アテローム性動脈硬化の存在と関連しており、患者のイベントリスク評価に有用と考えられる」とまとめている。両者の関連のメカニズムについては、サルコペニアと動脈硬化に、身体活動量の低下、酸化ストレス、炎症、インスリン抵抗性などの共通の病因が存在しているため、SI低下と動脈硬化が並行して進行する可能性を考察として述べている。その上で、「因果関係を明らかにするには、さらなる大規模な前向き研究が必要」と付け加えている。(HealthDay News 2022年8月8日) Abstract/Full Text Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まって以来、顔面を覆うフェイスシールドを着用した人を見かけることも珍しくなくなった。しかし、英イーストアングリア大学(UEA)ノリッジ医科大学のPaul Hunter氏らがこのほど、13種類のフェイスシールドについて検討したところ、どのフェイスシールドも感染につながる飛沫を防御する効果については十分ではなかったとする研究結果を報告した。詳細は、「American Journal of Infection Control」8月1日号に掲載された。 Hunter氏は、「フェイスシールドは呼吸を妨げず、マスクよりも自然なコミュニケーションを取ることができる上にしぶきを防御することができるため、人気がある。しかし、現時点で、フェイスシールドの新型コロナウイルス防御効果についてのエビデンスは、多くはない」と話す。 そこでHunter氏らは今回、13種類のフェイスシールドの感染予防効果を実験室内で検証した。実験は、機械装置で人間の咳が吐き出す飛沫の量や速度、粒子サイズをシミュレートした「咳」を作り出し、それを、フェイスシールドを装着したマネキンの頭部に向かって放出させ、それぞれのフェイスシールドの防御効果を比較するという内容だった。 その結果、いずれのフェイスシールドにもある程度の防御効果はあるものの、飛沫に対して高レベルの防御効果を示すものはないことが明らかになった。また、フェイスシールドの形状や、咳を受ける際のマネキンの頭部の傾け方により、防御効果が異なっていた。例えば、頭部を後ろに傾けたときには、フェイスシールド下部の隙間が広がり、そこから入り込む飛沫の量が増えていた。論文の筆頭著者である、UEAノリッジ医科大学のJulii Brainard氏は、「側面や下部、あるいは上部に大きな隙間があると、他の人から放出された飛沫が顔に到達する可能性がある。つまり、ウイルスに曝される危険性があるということだ」と話す。 Brainard氏は、「最も防御効果が高かったフェイスシールドは、額の左右と顔の側面をしっかりと覆い、顎の下にまで届くものだった」と話す。ただし同氏は、「この実験室での実験は、フェイスシールドを着用した人の近くで誰かが激しく咳をした場合を想定したものであることを頭に入れておくべきだ。単なる会話で飛沫がシールドの周りから顔面にまで到達するという可能性は、咳の場合と比べるとはるかに低い」と述べている。 研究グループはさらに、フェイスシールドのリアルワールドでの利用状況を知るために、ブラジルとナイジェリアの一般集団と医療従事者600人以上に対して調査を行った。その結果、調査対象者は、価格よりも快適で、装着時に安定性があり、洗浄が容易な製品を好んで購入していることが分かった。また、フェイスシールドの洗浄には、ブラジルでは消毒剤、ナイジェリアでは石鹸水が主に使われていることも明らかになった。 研究グループは、「これまでフェイスシールドのような個人用防護具の受容性に関する研究は、主に英国や米国を対象に行われてきたが、われわれは低中所得国を対象にして調査を行った。この研究の重要性はその点にある。ただし、今回明らかになったブラジルとナイジェリアでの利用状況が他の国にも当てはまるとは限らない」と話している。(HealthDay News 2022年7月28日) https://consumer.healthday.com/b-7-28-2657724902.html Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
  • 末梢動脈疾患(PAD)患者には「痛みなくして得るものなし(no pain, no gain)」というフレーズがそのまま当てはまりそうだ。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部教授のMary McDermott氏らの研究から、PAD患者が歩行運動療法を行う場合、足に不快感や痛みを感じるペースで歩行した方が、歩行機能の改善につながりやすいことが明らかになった。この研究結果は、「Journal of the American Heart Association」で7月27日発表された。 McDermott氏は、「足の痛みをもたらす運動は、困難ではあるが有益だ。われわれは現在、PAD患者のために、高強度の運動療法の有益性を保ちつつより簡単にできるような介入方法の特定に取り組んでいるところだ」と話す。 PADは、心臓から全身に血液を運ぶ動脈が狭くなって血液と酸素の流れが悪くなることで生じる。PADの症状としては、歩行時の足のしびれや脱力、疲れ、痛みなどが挙げられる。こうした症状は約10分間休むと消失する。研究者らの間では、トレッドミルでのウォーキングによってPAD患者の歩行が改善し、歩行距離も延長することが知られていた。しかし、歩行ペースによる影響については明らかにされていなかった。 McDermott氏らは今回、Low-Intensity Exercise Intervention in PAD(LITE)と呼ばれるランダム化比較試験において米国内の4つの大学でランダム化が行われたPAD患者305人のうち、264人(平均年齢69±9歳、女性48%)を対象に、事後解析を実施した。同試験で対象者は12カ月間にわたって週に5日、1)自宅で無理のない快適なペースで歩行運動を行う群(低強度歩行群)、2)自宅で足の痛みなどの症状が引き起こされるペースで歩行運動を行う群(高強度歩行群)、3)歩行運動を行わない群(対照群)の3群にランダムに割り付けられた。歩行運動を行った2群では、デバイスを装着して歩行の強度と時間を測定した。高強度の歩行と低強度の歩行の基準は、歩行運動を行う参加者ごとに判定された。参加者は運動の頻度、強度、時間に関するデータを研究用のウェブサイトにアップロードした。 参加者は試験開始時、試験開始から6カ月後と12カ月後に下肢機能検査を受けた。この検査では、4mの距離を通常のペースで歩いたときと、できるだけ速く歩いたときにかかった時間を測定し、歩行速度を評価した。また、4mの歩行テストや立位でのバランステスト、椅子からの立ち上がりテストで構成されるShort Physical Performance Battery (SPPB)と呼ばれる評価法を用いた身体機能の検査も実施した。 その結果、高強度歩行群では、低強度歩行群と比べて歩行速度が6カ月後の時点で0.056m/秒、12カ月後の時点では0.084m/秒改善していた。対照群と比べた場合では、歩行速度が6カ月後の時点で0.066m/秒改善していたが、12カ月後の時点では有意差は認められなかった。さらに、高強度歩行群では、低強度歩行群と比べて12カ月後のSPPBにおける3種類の足の機能テストの合計点(0〜12点)が1ポイント近く高かった。一方、低強度歩行群では対照群と比べて、6カ月後および12カ月後の両時点で、歩行速度の改善は示されなかった。 McDermott氏は、「PAD患者では、足の痛みが生じるペースでの歩行運動は、足の筋肉へのダメージに関連していると考えられてきたため、今回の研究結果は、われわれにとって予想外だった」と驚きを表す。そして、「これらの結果を踏まえ、医師は患者に痛みが出ることのない快適なペースで歩くのではなく、足の苦痛を伴うペースで歩行運動を行うよう助言すべきだ」との見解を示している。 ただしMcDermott氏らは、得られた知見を今後の研究で確認しなくてはならないとの認識を示す。また、本研究は、自宅での歩行運動療法について検討した研究結果であるため、専門家の監督下でトレッドミルによる歩行運動療法を行った場合の結果とは異なる可能性があるとしている。(HealthDay News 2022年7月27日) https://consumer.healthday.com/b-7-27-2657714129.html Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock